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うえお久光『紫色のクオリア』

紫色のクオリア (電撃文庫)です。
今さらな感じもあるのですが、ラノベの論文を書くときに使いそうなので、読んでみました。
この小説、すごいですね! 久しぶりに衝撃的なラノベに出会った感じです。

いろいろなSFのオマージュになっているという知識的な側面の具体は、物語として論じる上ではあまり意味のない情報なので省きますが、内容としてはいわゆる「クオリア問題」を扱っています。
たとえば、2人の人間が、ある対象を「赤い」と呼び、それを根拠に対話を成立させていたとしても、その2人が対象を同じものとして認知しているかどうかは分からない。もしかするとそのうちの1人は、同じ対象を一般に「青」と呼ばれている色で認知しているかもしれない。
認知をめぐる問題ではきわめて基本的な議論なのですが、それを認知だけでなく身体の問題にまで広げて、ラノベらしさを保ちつつSFに昇華したところが、作者であるうえお久光の巧みさでしょうか。

特にラノベらしさの根拠となっているのが、これをヒロインの毬井ゆかりの問題として、キャラクターに乗せている点だと思います。ラノベにおけるキャラクターと物語との関係については、一昨年の日本近代文学会秋季大会で話したのでここでは繰り返しませんが、この作品のように、(書き手自身の意図云々でなく、出来上がった作品の問題として)東浩紀のいわゆる「データベース理論」から積極的に逸脱していくものがもっと増えていくと、ラノベの可能性が広がると思うのですけどね。

ラノベに少し抵抗感のある人でも入りやすい作品なので、ぜひお試し下さい。
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プロフィール

大橋崇行

Author:大橋崇行
文学、ライトノベルなどなどについて、徒然にかいています。
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