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大橋流現代文 ~オツベル帝国の興亡~

「大橋流現代文」では、私がいつも行なっている現代文の授業を、少しずつご紹介していきたいと思います。

基本的なスタンスは、「生徒がじっと教師の話を聞くだけの『講義』形式でやる現代文なんてつまらない!」

教師が一方的に話すのは『講義』で、生徒が参加するのが『授業』である。これは、塾講師を始めて4年目くらいに、先輩から教えていただいたもので、今でも私の『授業』に対する基本的な考え方になっています。
私の場合、1時間のあいだ、とにかく生徒にはテキストからいろいろなことを考え、書いてもらい、それを自分の言葉で語ってもらい、他の人の考えとぶつけてもらう。そういう場を提供することで思考と記述、読解、スピーチの訓練をしてもらえたら…というのが理想なのですが、なかなか難しいですね。

さて、今回は
高校2年で読む宮澤賢治『オツベルと象』」です。
この作品は、中学生の教科書(教育出版)にも採録されているので、生徒によっては2回目になりますね。ネット上にも、先生の指導案なんかが転がっています。
ただ…

登場人物をまとめてみよう♪
白い象さんの気持ちがどうだったか考えてみよう♪

…なんていうのは、大橋流ではアウト!です。

「考えてみよう」といいながら結局いくつかの答えが用意されてしまっていますよね。
たしかに「国語」という教科の性質上、これはとても重要なことです。
基本的にはまず、9割くらいの人が納得できる読みを、本文から読み取られる範囲で拾いあげていく。それを生徒に身につけさせるのが、現代における「国語」という教科ですし、実際私も、そういう授業はやっています。
「国語は行間を読むんだ!」とか「文章解釈なんて人によって違う」といった文学教育の枠組みは、一般的なイメージとして今でも残っているようなのですが、「国語」という教科に向けられるかなり古い思い込みです。

一方で、テキストを論理的に読んでいけばたしかに立証できるんだけれど、間違なく反論がでてきて、最終的な結論は留保せざるを得ない…特に詩や小説では、こういうレベルの読解が必ず出てきます。そのとき初めて、自分の考えをどう述べるか、それを他者にどう説明するかということが問題になってくるわけで、そのレベルを体感してほしいというのが、私の現代文の目指すところなのです。

そこで、今回出したお題は
オツベルをもし『国家』と置き換えたら、彼にはどんな『国家』としての特徴があるのか、箇条書きでいいので挙げられるだけ挙げてみよう!」というものです。

このテーマ設定に、首を傾げる方もいらっしゃるかもしれません。なぜならこの「オツベルと象」は、賢治研究者のあいだではだいたい4つのラインで読まれているからです。

1.賢治の個人的な思想との関係
2.白い象をめぐる仏教の問題
3.資本主義と共産主義の対立
4.あくまで「童話」としてこの作品を読む

ここで「国家」という問題設定をしたのは、一つには、この作品を萱野稔人『国家とは何か』を読む前の導入として扱っているためです。またもちろん、白い象を働かせるためにオツベルは「税金」が高くなったということを口実にするわけですし、象たちが起こした事件を「可愛い象さんたちが起こした壮絶な復讐劇」という童話の枠組みで読むのではなく、オツベルという権力者に対して象たちが起こした革命だったと読めば、作品の内部に「国家としてのオツベル」という文脈は内在されています。

しかしそれ以上に、たとえば共産主義―資本主義という既存のフレームから読むのではなく、もう少し一般的な権力の問題に押し広げたほうが、この作品からはより面白い要素を引き出せるのではないかと考えました。その上で、オツベルという個が持った権力と、国家という共同体が持つ権力にはどういう差異と共通性があるのか、権力はどのように構成されているのか…といった問題を、高校生が考えるきっかけになれば、萱野さんの『国家とは何か』を批判的に読むことも可能になると思ったわけです。

今日の授業でやったのはその1時間目。
まずは、全文を読み、それから初読の感想を話しあいます。
あとは、象たちが碁を打っているシーンで、彼らはどうやって碁石を持ったのか! とか、
オツベルが「くしゃくしゃに潰れ」たというのはどういう状態なんだ! といったツッコミを入れたとこで終わってしまいました。
個人的には、杉田智和さんが朗読したCDを聞いてネタにしたかったんですが、注文が間に合わず…。

宿題として、次回までに「オツベルをもし『国家』に置き換えたら~」を挙げられるだけ挙げてくるように言ってあるので、次回がどういう展開になるか、楽しみでもあり不安でもあり…といったところです。
私の授業は、生徒次第でどうにでも動く授業ものなので、ライブ感はありますが、大失敗することも?!

3クラスでやっているので、次回授業の結果は、それが終わってからご報告したいと思います!



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大橋崇行

Author:大橋崇行
文学、ライトノベルなどなどについて、徒然にかいています。
プロフィールの詳細やコンタクトにつきましては、個人HP(→「泉月亭」)をご覧下さい。

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